富士は日本一の山

 「何をやっても中途半端」 自分のことを一言で表現するならば、きっとこの言葉が一番しっくりくる。そう、自分は今までこれは極めたなと思えるようなことはひとつもなく、どれをとっても中途半端・・・。

もともと頭脳的にも身体(運動神経)的にも才能がないから、コツコツと積み上げていくことが自分の持ち味なんだけど、それでも極めるまで積み上げられたものはない。

勉強では中学までは得意のコツコツ積み上げ勉強法でなかなかの成績を維持。中学3年生の実力テストでは埼玉県で一番になったりもしたけど、それも高校ではラグビーとの両立が難しくなり挫折。頭がいいわけではないから、コツコツ積み上げられなくなった時点で勝機はない。結局中途半端な大学に行って、大学でも中途半端な卒業研究で、その後の就職に勉強したことが活かされることはなかった。(今も大学で勉強したことは、仕事に全く活かされていない。)

運動でも最初に習い始めた水泳は、バタフライを習得する前に辞めてしまった。次に習い始めた少年野球もレギュラーになることはなく、中学でも続けたものの公式戦は1勝もできず・・・。高校から始めたラグビーも、せいぜい県でベスト8止まりの高校で、試合に出ている15人の中の一番下のほうの実力。大学でも続けたけれど、体育会ではなくサークルでの活動。ラグビーは今も大好きで今も現役を続けているけれど、何とか維持している体力で勝負しているにすぎず、熟練の技術やうまみはなし。

ラグビーだけは本当に一生懸命やってきたと胸を張って言うことはできるけれど、それでもこの実力ではとても極めたといえるレベルではない。

 こんな自分だから、当然日本一なんてものには縁がなく、これからもきっと縁はないだろう。でも、そんな自分でも挑戦できる日本一があった。それは、日本一高い山、富士山。コツコツ積み上げていけばいつかはたどり着けるであろう富士山頂。埼玉に住んでいたころは興味のなかった山登り(※)だが、北海道にきて山登りに興味を持ってからは、いつかは登ってみたいと思っていた富士山に挑戦するチャンスがついに巡ってきたのだ。

 そのチャンスはラグビーワールドカップ日本大会でスコットランド対ロシア戦(10月9日開催)を静岡のエコパスタジアムで観戦した後。当初の計画では観戦後に車でそのまま須走ルートの登山口まで行き、10月10日の朝まで車で仮眠して登山開始。この時期唯一オープンしている途中の山小屋(富士山の夏山シーズンは例年9月10日前後までとなっており、この時期はすでにシーズンオフとなっている)で一泊して、翌朝(10月11日)にご来光を見てから山頂を目指し、その日のうちに下山するというものだった。

 しかし、台風の接近により、あっけなく計画の見直しを迫られることとなる。台風の影響でご来光を見るはずだった10月11日の天気予報は曇りのち雨。これではお目当てのご来光が見られないどころか、下山中に雨となってしまう可能性も出てきた。そこで出した結論は、10月10日に日付が変わったころから登山を開始し、日の出までに登れるところまで登ってご来光を鑑賞、その後山頂を目指して午後には下山するという強行スケジュールでの弾丸登山。体力には自信があるので、天気さえ良ければ問題ないという算段だ。この決断がはたして吉と出るか、凶と出るか・・・。

 結論から言うと、結果は吉!

 天気は終始快晴で、日の出までは満天の星空と裾野の夜景を楽しみながらの登山。7合目を少し越えたところで夜明けが近づいてきたため、ここで少し時間をとって最高のご来光を堪能。これまで経験した中で一番高い場所から見た日の出の瞬間は、眼下に広がる雲海を突き抜けるように、突然太陽が顔を出したように感じられ、本当にこれまで見た朝日の中で一番感動的なものとなった。


※山登りについてはコチラ↓

夜明け前の景色


7合目付近から見る御来光


7合目付近から見る御来光(動画)


 ご来光の撮影でちょっと休憩できたので、その後も体力的には問題なく順調に登ることができた。しかし、標高3,300mを越えたあたりで身体に突如異変が!ここまでほとんど疲労感はなかったのに、急に息が上がり出して呼吸が整わない。足にも力が入りづらくなり、最終的には全身倦怠状態に・・・。その時は、「これが噂に聞く高山病か!」なんて思ったけど、後から考えてみれば高山病の症状は出ていないので、おそらくはワールドカップ観戦後に夜通し徹夜で登ってきた寝不足とあいまって、これまで登ったことのない高度に体が順応できなかったことからくる体調不良だったのだろうと解釈している。

 とはいえ、そこからの登りは本当に大変で、まさに一歩一歩をコツコツと積み重ねて、なんとか頂上にたどり着こうという気力だけで登っているようなものだった。その時励みになったのは、同じようなヨレヨレのペースで登っている一人の外人さん。「疲れたね」なんて声を掛け合いながら登れたのは、この時の自分にとっては本当に支えになった。

 そんなこんなで最後はかなりペースダウンしてしまったけど、10時前には山頂に到着。標高差約1,800m、距離にして約7.5㎞(240m/㎞)を9時間ほど(休憩時間含む)で登りきることができた。ちなみに一番よく登っている斜里岳は標高差860m、距離4㎞(215m/㎞)を2時間半ほどで登ることができるのだが、標高差と距離は斜里岳の2倍程度なのに、時間は3.6倍かかっていることからも、富士登山がどれだけ過酷だったかがよくわかる。

 いずれにせよ、無事に到着した山頂でも天気は快晴で風もほとんどなく、ゆっくりと眼下の景色を眺めながら昼食を食べるというぜいたくな時間を過ごすことができた。

 休憩後、ここまできたからにはやっぱりお鉢めぐりに挑戦しようと歩き始めたものの、やはり体調は回復しておらず体に力が入らない状況・・・。結局、日本で一番高い場所である剣ヶ峰(3,776m)への登頂は断念・・・。自身の最高到達点は3,718mで、日本一高い場所へはあと58m届かなかったが、剣ヶ峰登頂は次回の楽しみにとっておこうと思う。


山頂の神社で記念撮影

山頂にこんなに立派な建物があることに驚いた


 下山は「砂走り」と呼ばれる下山専用のルートがあり、その名の通り砂地の道を走るように下れるため、ペースは登りとは比べ物にならないほど早い。体力的にも楽なので景色を楽しみながら歩く(ほとんど小走り?)ことができた。しかし、樹林帯に入るとまたしても身体に異変が・・・。森の中に突然大きなビルが見えたり、登山道の脇にあるはずのないベビーカーがたくさん並んでいたり。おそらく寝不足の影響なのだろうか、幻覚が見え始めたのだ。幻覚なんて見たことがなかったからほんとに驚いたけど、それ以外は特に問題なく、無事に登山口まで戻ることができたのは本当に良かった。あらためて言うまでもないが、やはり徹夜での登山はお勧めできない。


下山中にもきれいな景色が広がっており、そこには湖が。富士五湖だろうか?

また、砂地の道を走るように下っている中で振り返ると、そこからは山頂を望むことができた。


 10月9日の早朝に春日部の実家を車で出発して静岡に向かい、エコパスタジアムでワールドカップを観戦後、そのまま富士山に登るという強行日程となり、反省すべき点は多々あるが、終始好天の中富士山を上ることができ、とても満足のできる旅になった。日本一高い場所に到達できなかったのは残念だが、それは次回登るときの楽しみにとっておこう。そして、次回こそは山小屋に泊まって余裕のある富士登山にしたいと思う。

Kiroroan cise

“Kiroroan cise(キロロアン・チセ)”はアイヌ語で楽しい家という意味です。 みんなが集まれる楽しい家のようなサイトになれますようにという願いを込めて、この名をつけました。

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